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第19話 逆襲の準備

Author: 月歌
last update Last Updated: 2026-03-02 19:27:18

606号室での生活が始まった。

一人暮らしは、やはりさみしい。

でも、以前とは違う。

康太がいる。

高橋弁護士がいる。

私は、もう一人じゃない。

朝、目が覚める。

窓の外を見る。

向かいのマンション。

暗い窓。

蓮くんは、今日も見ているのだろうか。

古いスマホを手に取る。

通知が、たくさん。

蓮くんのファンからの罵倒。

SNSのメンション。

「精神病女」

「康太さんに捨てられて当然」

「嘘つき」

私は、深呼吸する。

そして、箱の前に座った。

段ボールに入れた、二つの箱。

盗聴器が仕込まれた、あの箱。

演技。

蓮くんを騙す演技。

「もう無理……辛い」

声を、少し震わせる。

「誰も信じてくれない……警察も、会社も……」

自然に。

「康太も、去った……もう、終わりなのかな……」

箱を見つめる。

盗聴器が、私の声を拾っている。

蓮くんのスマホに、送信されている。

もしかしたら、今も。

イヤホンで、私の声を聞いているのかもしれない。

「美月……」って、呟きながら。

満足そうな笑みを浮かべながら。

私は、震えを抑えた。

大丈夫。

ちゃんと演技はできている。

───

防音のきくバスルームに入る。

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